元日本サッカー協会会長でもあった岡野俊一郎さんが亡くなった。昨日何気なく見ていたスマホの画面でこのニュースの文字を見つけたのだが、何とも言えない寂しい気持ちがこみあげてきた。Jリーグをはじめ、現在の日本のサッカー文化の進展の土台を一時代前から着々と築いていた中心人物が岡野さんだったのではないかと今でも思っている。
今から遡ること40年以上も前、私が15歳の時に偶然TVで見たサッカー番組「ダイヤモンドサッカー」で岡野さんの存在を知ることになる。毎週末の夜10時から地方局の番組だった。おそらく東京12chで放送を終えたビデオを週遅れで流していたんだと思うが、金子勝彦アナウンサーの「サッカーを愛する皆さん、こんばんは」というフレーズから始まる45分間の放送で、解説者が岡野さんだった。欧州サッカーを中心にした45分の番組で、今週は前半、来週は後半、というように半分ずつの放送だった。今のように情報があふれている時代ではなく、「前半を終えて0−0。さあ、後半はどんな展開になるのでしょう?」という終わり方をする。1週間後まで後半の結果がわからず、翌週にワクワクしながらTVの前に座ったのを覚えている。岡野さんの解説は非常に含蓄があって面白く、サッカーだけでなく、その土地の歴史や文化、産業といった様々なことを伝えておられた。「なんて知識の豊富な賢い人だろう!」と子供心なりに感じたことを鮮明に覚えている。東大を出た人だから当たり前かもしれないが、その人柄にも尊敬の念を覚え、ゆくゆく私はあろうことかこの岡野さんに手紙を出すことになる。何を書いたかはっきり覚えていないが、日本のスポーツ界が野球が唯一かつ第一だった40年前、「日本にサッカーを根付かせてほしい」みたいな内容を綴ったと思う(当然、返事は来ないが..)。
その当時から40年という年月が過ぎ、Jリーグやワールドカップも広く認知されるようになった。日本ではまだ野球を追い越したとまでは言えないが、日本でもサッカーが文化のひとつになるという時代になりつつあり、この功績のルーツに岡野さんの存在があったことは間違いない。最近は岡野さんの顔もあまり見なくなったと思っていたが、昨日聞いた訃報に(他人とは言え)非常にショックを受けた。先にも述べたが、いわゆるサッカー馬鹿ではなく、多方面に渡って知識が豊富で、社会や文化にも精通し、おまけに英語も独語も堪能、人間も素晴らしいとなると尊敬せずにはいられない。ひょっとしたら私がサッカーを始めるきっかけは岡野さんの存在も影響したんだろうか..そう考えると人生の恩人の一人でもある。高校時代から長きに渡り尊敬し続けてきた岡野俊一郎さんのご冥福を心からお祈りしたい。
岡野さん、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。安らかにお休みください。
2017年02月04日
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